妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
第一、真也がそばにいるというのに気に留めることなく血迷った目をしながら近づいてくる人間が正気だとは思えない。
これが男の人を家に入れた私への忠告だったとしても、常木さんに片思いしている私にとったら、心境は至極複雑だ。
視界の端では顔を真っ赤にさせた真也があわあわとして、こちらもまさに地獄絵図である。
「ちょっと、ほんとに、マジで、やめて」
堪忍袋の緒が切れかかった、というか、切れた私は
常木さんの口元をグイグイと押しながらこれでもかと言葉ひとつひとつを区切りながら怒った。
表情筋を全て失った、怒りの権化。
こんにゃろう。恥ずかしい、こっちの意志など関係なしの無神経さにムカついた。
「私、常木さんのこと大好きだけど、無理やりしてくるの、嫌い」