妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~



私がそんなにはっきりものを言うと思わなかったのだろう、常木さんは眉をピクッとあげたまま固まって動かなくなってしまった。




真也も困った表情で私と常木さんを心配げに見てくる。



「ちょっと、アイス買ってくる」


私は背を向ける。


あ、僕も一緒に……と常木さんは子供のように手を伸ばしてくるが



「いい」と私は冷たく手を払い除け、部屋を後にした。




出ていく寸前、後ろから「僕は最悪だ……」と常木さんが項垂れる声が聞こえ、少し心が痛んだ。
 



子犬を見捨てたような罪悪感だった。



いいや、考えてみればそんな罪悪感を感じる必要は無いはずだ。
なぜなら私は悪いことをしていないし、むしろ強引に迫られたのにも関わらず寛容だったくらいだ。



寛容すぎるほど、といっていい。


「………はあ」


アイスでも食べて頭をスッキリさせたら何か変わるかなあ。



ブツブツ言いながらも、コンビニでちゃっかり2人の分もちゃんと買っている私。
鈴木さんの言う通り、ドがつくほどのお人好しなのかもしれない……。



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