妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「簡単じゃないよ、何言ってるの」
常木さんは不思議そうに私を見る。
「なんとも思っていない人にキスなんかしないし、キスマークをつけたりもしない」
「え?」
その言い方だと、まるで、常木さんが私のことを……
「好きなんだよ、久美ちゃんのことが」
「それは、妹みたいでって意味だよね……」
私が自重気味に微笑むと常木さんは
「妹だと思ってる人にキスするはずがないでしょうが。
恋人にしたいと言う意味で好きなんです。
あなたといると知らない感情に呑まれてうまく自分を制御できなくなる。
優しくしたいのに傷つけて、大事にしたいのに自分のものにしたいと欲望に支配される。
あなたにもっと触れたい。この感情が愛情なのでしょう?」
常木さんのカミングアウトに私は心臓が止まりそうだった。