妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
いつも神社の石段を降りるときに手をとってくれるのが年下を心配する気持ちからのものではなく、ただ好きだからだったとしたら。
嬉しい、嬉しすぎて言葉がでない。
「……わ、私も。常木さんが好き」
ようやく言葉にした時、常木さんは目を丸くした。
思いもよらない、といった風だった。
そして、困ったように笑った。
「本当に?」
私は頷く。
「本当だよ」
「夢じゃないですよね」
常木さんはいつもの妖艶な笑みなんかどこにもなくて、少年のような屈託なく笑った。
「なんだかホッとしたら、お腹が空いてきました」
心の底から安心したような顔の常木さん。
そして何故かじーっと私を見つめてくるため、直感的に危機感を覚えた私は話をそらす。
「……あ、そうだ」と。