妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~



そのときちょうど鈴木さんがやってきて「交代の時間だってさ」と暑苦しい着ぐるみを脱ぐことができたのだった。




 常木さんも妖守の役目はもう終わったらしく、私が点灯させるまでの間、一緒に夜祭をまわることができた。




 常木さんに綿菓子を買ってもらった。



甘くて美味しくて、そして常木さんからの視線がむず痒い。


ぱくぱくと綿菓子を頬張っているところを見られ、とても恥ずかしかった。




「そんな見られると食べにくいよ」


「ああ、ごめんね。僕もひとくちもらっていい?」


「うん、いいよ」



 綿菓子を常木さんの方に傾ける。買ってもらって独り占めするような私ではない。


美味しいものは一緒に食べると倍美味しいと思っている。甘いものは正義だよ。



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