妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
私は握られていた手の力を緩め、離そうとした。
そろそろ時間だったし、それに邪魔になるといけないから。
しかし、手は離れなかった。
それも、私の行動を読んだかのように常木さんがしっかり握り込んで、
手が潰れちゃうくらい強かったから、思わず苦笑いする。
それを見ていた女性、もとい楓さんはふっと笑った。
阿呆らしい、と馬鹿にした感じがとても嫌な感じだ。
視線が交わった時、完全に見えた。
私に対する敵意が。
そして、彼女はとんでもないことを口走った。
「やっぱりあなた着流しがよく似合うわねえ、あなたみたいな幼い女の子にはもったいないわ。
早く私の旦那さんになってくれるといいんですけど」
私の肩は意図せずビクッと震える。
だ、旦那さん?