妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~



 私は握られていた手の力を緩め、離そうとした。


そろそろ時間だったし、それに邪魔になるといけないから。




 しかし、手は離れなかった。



それも、私の行動を読んだかのように常木さんがしっかり握り込んで、
手が潰れちゃうくらい強かったから、思わず苦笑いする。




 それを見ていた女性、もとい楓さんはふっと笑った。
阿呆らしい、と馬鹿にした感じがとても嫌な感じだ。




視線が交わった時、完全に見えた。

私に対する敵意が。



 そして、彼女はとんでもないことを口走った。




「やっぱりあなた着流しがよく似合うわねえ、あなたみたいな幼い女の子にはもったいないわ。
早く私の旦那さんになってくれるといいんですけど」



 私の肩は意図せずビクッと震える。


 だ、旦那さん?


< 228 / 242 >

この作品をシェア

pagetop