妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「………久美ちゃん? 寝てるの?」
夢うつつで常木さんの声を聞いた。
隣で椅子を引く音がして、頭を優しく撫でられる。
それがすごく心地よくて現実に戻るのはもう少し後になりそうだった。
「君が、さっきのことで気を揉んでるんじゃないかと思って見にくれば、
すやすや眠ってるし、可愛いし………罪だよね。
わざわざ起こしてまで言うことじゃないから、寝てるならここで弁解でもさせてもらうけど。
………あのね、僕は君のそのまっすぐな生き方を否定したわけじゃないんだよ?
ここに来るまで考えてたんだけれどさ、久美ちゃんの優しさって平等な優しさなんだよね、それに惹かれたのも僕だし。
……で、ようやく僕が何を言いたかったのか分かったよ。
要するに君に言いたかったのは。優劣をつける時は必ず僕を優遇してね、ってことだったよ。なんと単純明快」
常木さんは、あんなかっこつけたこと言ったのにただの独占欲からきた言葉だったとは自分でもびっくりだな、とくすくす笑った。