妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
翌日、下駄箱に差し込まれた篠原さんからの手紙にて指定の教室に呼び出された僕は、告白された。そして、付き合うことにした。
何にも思わなかった。
こんなものか、という気持ちと。
僕もちゃんと女の子と付き合えるんだな、と分かっただけ。
確認できただけ。
ましてや篠原さんと会うことを嬉しく待ち遠しく思ったり
僕と手を繋ぎたそうにしている彼女を愛おしく思ったり
そう言うのはまだ無かった。
次第に湧いてくるのだろうと思っていた。
しかし、いつまで経っても………といった感じだった。
僕は好きになろうとしていた。
好きになる努力はした。
限りなく優しくしたし、「キスして……」と言われれば、した。
彼女はぎゅっとされるのが好きだったので、それに応えた。
しかし僕を突き動かすような激情はなかった。
あくまで理性的で、取り乱したり、心から無条件に湧いてくる感情は皆無だった。