妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「お前は恵まれた容姿と頭脳を持ってるけど、唯一、情熱が足りないな」
実際、教師に言われた言葉だ。今となっては問題になりそうな言動だが、まったく僕の核心をついていた。
環に言わせれば僕はサイボーグらしい。
「お前は振っても振られても動じないなあ」と環は不思議がった。
その通りだった、僕は大抵振られた時も振った時も、
翌日にはすっかり忘れたように彼女のいない日常に身を置くことができたのだから
血が通ってない泥人形だと言われても否定できない。
そうして僕が彼女を作るのをさっぱりやめ、告白も片っ端から断るようになると、
その噂を聞いた環からいつもの公園に誘われた。
そしてやはり駄菓子を買い込んでベンチに並んで座る。
「俺が悪かったよ、試しに付き合うのはお前向きじゃなかったんだなあ。たぶん弥白は一途なタイプなんだろ」
「僕は全然一途じゃない」
「心配ないって、まだ見つかってないだけだから」
普段から無神経なもの言いが目立つ環に励まされるほど、その時の僕は落ち込んで見えたらしい。
「ほら、鳩もそう言ってる」
「言ってないよ……」