妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
安息の地、千秋神社
私はあの肝試し以降、放課後に千秋神社へと頻繁に足を運ぶようになった。
クラスは相変わらずで、朝早めにきた私は鈴木さんが机を擦っているところに出くわし、声をかけたところ
「机に落書きがされている」
とのことだった。
私は愛用している巨大まとまるくん消しゴムを駆使して、二人で一緒に消した。
一緒に消している時、後から一緒に手伝うことしかできない自分の意気地のなさに、心底がっかりした。
河野さんにガツンと言ってやったり、こういうことはやめようとか、そういうのじゃない。
そう言えたらなんと楽なことか。
でも、私が声を上げて「そうですか、では、いじめはもうしません」と解決することのようにも思えない。
今私がしていることは根本的な解決にならないその場しのぎでしかないのだ。
誰がいちばん愚かなのかと問われれば、これは間違いなく私であり、私でしかない。
主犯格の河野さんや、それに乗っかっている人達の誰よりも、私のしていることの方が残酷なことのような気がした。
助けてくれるかもしれない、と鈴木さんが期待しているのなら、なおさら酷い。
私は…………どうすればいいのだろう。
さらなる悩みが私の心を暗くして、癒しを求めるかのように千秋神社へ向かう。