妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「袖になんでも入ってるんだね」
「久美ちゃんが怪我をしてしまいそうな予感がしたので」
と常木さんは冗談か本気かわからないことを言った。
その出で立ちからしてそういう予知ができてもおかしくないなと思ってしまう。
幽霊とか超能力は全然信じていないけれど、常木さんならありそうだな、と。
「さあ、完全に陽が暮れると足元が見えにくくなってしまいます。急ぎましょう」
常木さんは私に手を差し出した。
「えっと……」
「よければ僕につかまってください。そちらの方が僕も安心です」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
常木さんの手に自分の手を重ねると、また歩き出した。