妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
気遣うように時々こちらの様子を伺いながら先に進む常木さんは、
なんだか違う世界へ連れていくための水先案内人のようだった。
もしかしてこの石段の先には妖の世界が広がっているのでは、と想像したが、
まるでそんなことはなく旧千秋路にでた。
ひっそり佇むお地蔵さんに、道路に突きでて存在感を醸し出す木。間違いない。
「やっぱりここ、家の近くだ。ずっと住んでるのにこんな所に出る抜け道があるなんて知らなかった」
「さっき転んだ久美ちゃんにはよくわかるだろうけれど、
暗くて足場が悪いから、大人たちは子供にこの抜け道を教えないんでしょう。
久美ちゃんも一人の時は使わない方がいいです。危ないですから」