妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
神社って転けやすいよねえ、と久美ちゃんは笑っている。
呑気なものだ。
僕の方が冷や汗ものである。
僕の浴衣は彼女を受け止めた拍子に若干はだけてしまい、こちらも危うい状況であった。
純粋な彼女の前で露呈してはいけないと慌てて身なりを整える。これは紳士の務めである。
僕たちが話しているところに女の子が二人、神社に入ってきた。
久美ちゃんは後ろを振り返り「あ」と声を上げた。どうやら顔見知りのようだ。
僕は入ってきた人たちにあらぬ誤解をされないように久美ちゃんから距離をとる。
「久美ちゃんの知り合いですか?」
僕がそう尋ねると彼女は「う、うん」とキレの悪い返事をした。