妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~



入ってきた髪の長い女の子は久美ちゃんに手を振って、決まり悪そうに




「や、やあ。ついてきちゃた」と言った。



「ついてきちゃったかあ」



「ごめんねえ。私は止めたんだけど椎名が言うこと聞かなくって」



ボブカットの女の子は横の椎名と呼ばれた女の子を小突く。





「あー、私のせいにしたー」


「だってほんとじゃん」


「あら」



椎名さんが久美ちゃんに目配せした。



「そちらの方は?」




二人の視線が僕に集まる。


狐面を被っているのを怪しんでいるのでしょうが、好奇心を向けられるの少々苦手だ。





「えっと、この人は……常木さんって言って神社の妖守の仕事をしている人なの」




そう説明する久美ちゃんの申し訳なさそうな視線。





僕がこの状況をよく思っていないことが彼女に伝わってしまったのかもしれない。





しかし久美ちゃんの友人なのだから僕はちゃんと失礼の無いようにしなければ、と細心の注意を払って対応する。




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