妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
寝ぼけているのだろうか、常木さんは微笑み、あろうことか私に抱きついてきた。
後頭部に細くてごつごつした手が回ってくる。
「ずっと、待っていました久美ちゃん」
と常木さんは呟いた。
「へ、へい」と私。
ばくばくと心臓がうるさく鼓動する。
そのうち私の心臓は口から流れ出て、こんにちはと、意気揚々体から出ていってしまいそうだった。
「あ、あのー」
そこでようやく目を覚ました常木さんは
「……え?」と一瞬フリーズし、
「す、すみません!」と慌てて常木さんは石段の端っこに後ずさった。
驚かせてしまったようで申し訳ない。