妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
トイレや空き教室、図書室、音楽室、どこを探しても鈴木さんは見当たらない。
私は一体何をやってるんだろう。
ことが終わった後に駆け寄ってもなんの意味ないじゃないか、
それだったら見て見ぬ振りをしていたほうが数倍マシではないのか。
まだまだ、私は私のことが大事なのだ。鈴木さんがいじめられているところを目撃すると、すごく不甲斐なく感じる。
もしかして、と思い屋上の階段をあがる。
重い扉を押しあけると、ぱあっと明るい日差しが肌を刺す。
夏に近づくにつれて、直射日光と屋上のアスファルトからの照り返しで悪魔的な暑さを誇る。
目を細めて、キョロキョロとあたりを見渡すと、見覚えのある人物が二人、身を寄せて固まっていた。
常木のそばには鈴木さんがいて。
私に気づいた常木さんはハッとした様子で鈴木さんを引き寄せ、着物の袖で私から隠すように抱き込んだ。
––––––なんで二人が。