妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「なあに?」
私はいたって平然を装って振り返った。
真也もいつも通り眉を顰めてむすっとしていて、なぜかほっとした。
「鈴木は見つかったのか?」
「え?……ああ、見つかったよ。屋上にいた」
「屋上って大丈夫なのか?」
私は真也の誤解に気づいて補足する。
「大丈夫、見ててくれる人がいるから安全だよ」
自分で言っておいて、「あ」と思った。
もしかして鈴木さんが屋上にいたのって命を投げ出そうと……。
嫌な想像はよそう。
今はあんまり深く考えたくない。もう自分の馬鹿さ加減とか愚かさにうんざりして閉口しているんだから。