警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
経験豊富なあなたと違って、私はこういう時どう反応したらいいのかわからないんです。
そう言いたいのに言葉が出てこない。
そのまま買い物をしようという天野さんの提案を受け入れてモール内を歩く。
最近は買い物する時間もなかったと話すと「俺が選んでやる」とショップの中に入っていった。
彼が入っていった『ソルシエール』は数年前ドラマの中で人気女優が衣装として着用したことがきっかけとなり、今や女性では知らぬ人のいない人気のあるブランド。
今日着ているブラウスも実はここのものだが、一着一万以上するので気軽に買えるお店ではない。
ワンピースなどは五万以上するものもあり、なかなか手が出せないけどとても可愛くてお気に入りのショップだ。
「これとか。似合いそう」
首の下にハンガーを当てられたのは、薄いパープルのニットワンピース。
上半身はボトルネックに身体のラインが綺麗に出るスッキリとしたデザインで、ウエストには同じニットのベルト。スカート部分は細かいプリーツがあしらわれている。デザインのアクセントに袖口が少しだけ広がっていて、とても上品で可愛い。
ちらりと値札を見れば七万円。お呼ばれのドレスだってもっと安いのを買う。
「か、買えないですよ。こんな」
「いいよ。俺が出すから」
「はいっ?」
今日一日奢られっぱなしだというのに、さらに服までなんて。そもそも買ってもらう理由がない。