警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
私たちも恋人同士に見えているんだろうか。というよりも、私たちは一体どういう関係なんだろう。
今日一日の流れを振り返り、ランチに映画、買い物に夜景とデートのド定番といわれる過ごし方をしていたことに改めて気付く。
上まで辿り着いてベンチの奥にある柵に手をかけて夜景を見下ろすと、あたりに広がる光は東京の夜景と違ってギラギラしていない。海も見えてかなりロマンチックに感じる。
右手に目線を移せば、遠くに観覧車や昼間映画を見たショッピングモールも見える。
「っふふ」
「なんだよ」
「だって、なんかいかにも過ぎて」
「笑ってんなよ」
決して余裕で笑ったわけではない。照れくさすぎて、そうでもしないと叫びだしたくなるような衝動を抑えられないから。
グッと身体ごと寄せられて、すぐ近くに天野さんの顔がある。
夜景の光を反射してきらきらしてる大きな瞳に胸が高鳴る。
「天野さん……」
「翔」
何度名前を訂正するのを聞いただろう。
照れくさいのと、その名前を本当に呼んでもいいのかと、未だ名字で呼び続けるのには理由があるのだけど。
きっと彼はわかっていながら訂正を続けているんだと感じていた。
「デート、夜景ときたら?」
そっと顎に指がかかり上を向かされる。
こんな外で人が多い中恥ずかしいと思う間もなく唇を塞がれた。