警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

そこまで考えて、どうして今日天野さんがここに連れてきてくれたのかがわかった。

それでこんな定番のデートコースを回ってくれたんだと理解すると、嬉しさと恥ずかしさで目眩がした。

「蜂谷」
「……はい」
「このまま帰したくないって言ったら、どうする?」


――――え?

「え、あ? それって……」

いくら恋愛偏差値が底をついているとはいえ、その言葉にどんな意味が込められているのかくらいは知っている。

それを私に言うということは、私とそういう事をしたいということで。

でも私たちの関係は……?

そもそも経験がない私が天野さんとなんて出来るんだろうか。ガッカリさせたりしないんだろうか。

昨夜は同じベッドではなく、リビングのソファで眠ったと言っていた。

それは彼の優しさだと思っていたけど、私相手なんかにそんな気がおきなかったからなんじゃ……。

またしても思考回路がこんがらがって固まる私に天野さんは少しだけ眉を下げて笑った。

「ったく、そんな顔すんなよ。大丈夫、ちゃんと送っていくから」

一応気を使ってくれたのか、前髪だけをくしゃっと撫でて柵から離れてベンチに座った天野さん。

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