警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
どうしよう、呆れられた?
とっくに成人してる社会人の女が、こんなことで動揺してるなんておかしいのかもしれない。
それでも今まで恋愛をしてこなかったツケなのか、今こうして仕事以外で二人きりでいるだけでいっぱいいっぱいなのが現状だった。
「ご、ごめんなさい、私……」
「バカ。謝ることじゃないだろ」
ここで言わないと後悔する。
ちゃんと伝えたい。自分の本当の気持ちを。自覚したばかりの恋心はまだ無理でも、今の素直な思いを。
「あの、……翔、さん」
「ん?」
思い切って名前で呼んでみると、想像以上に嬉しそうな顔でこちらを見てくれた。
そのことに背中を押されて、なんとか思っていたことを言葉に乗せようと口を開く。
「今日、楽しかったです。あの、無理やりとかじゃないですから。昨日のお詫びをしたかったのもあるけど、私だって、ちゃんと」
「うん」
「ご飯も映画も、ワンピースも、ありがとうございます」
持っていたショッピングバックをぎゅっと胸に抱きしめる。
本当は車に置いてきても良かったのだけど、なんとなく手放したくなくて展望台にまで持ってきていた。
「あぁ、この服さ」
ベンチから立ち上がってグッと伸びをする翔さんにつられて、私も背筋を伸ばす。
「お前だって男が服をプレゼントする意図くらいわかるだろ?」
「え?」
「その覚悟が出来たら、コレ着てきて」
それって……。
無言で考えていると、翔さんが堪えきれないように笑った。