警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
うずくまりたくなるのを何とか堪えて足を踏ん張る。
そうすると靴の底から根が生えたようにそこから一歩も動けない。
傷つきたくなくて言葉にしなかったせいなのか。こんなにも翔さんを好きになってしまう前に、ハッキリさせなかった私が悪いのか。
胸の奥がまたズシンと重くなる。
電話相手の予想を否定したくてどれだけ話していた翔さんの声を思い出しても美樹さんと会話していたのは明確で、言葉にして好きだと告げていた現実が目の前にあるのに受け入れたくないと思ってしまっている。
あの二度のキスは一体なんだったのか。
ふたりで出掛けて眺めた夜景は幻だった?
三度目のキスに思いやりを感じたのは私だけだった?
買ってもらったワンピースに一向に袖を通さない私はもう用無し?
俯けばぽたぽたと涙が道路にシミを作り続ける。
寒さに身体を震わせていると、後ろからそっと肩に触れられた。