警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
一大決心をさせるほど、部長を想っているということなんだろう。
見方によれば、美樹はひとつの家庭を壊したことになる。それでも一緒にいるという道を選び、悩み悔いながらも決断したに違いない。
「良かったなって、言っていいんだよな?」
『うん、ありがとう。翔は?』
「え?」
『蜂谷さんと。あれからどうなのよ』
それ以上報告する事はないのか、あっさりと俺に矛先を向ける。
からかいたいだけなのか、給湯室での一件を見ているせいで本当に蜂谷を心配しているのか定かではないが、最近の蜂谷の様子を告げた。
「あぁ、なんかあれ以来気にしないようにしたって言ってたけど」
『確かに。私が帰る直前は笑顔も増えて更に可愛くなってたわね』
数日前に二人で出掛けた際の蜂谷を見た時の衝撃は忘れられない。
元々目鼻立ちの整った容姿をしているのは十分にわかっていたはずだった。
しかしあの日の蜂谷はそんな認識を覆すほど、恐ろしく可愛かった。
伏せた目元はキラキラ光り、口元は珍しくピンク色をしていて、いつもの化粧と違うのは一目瞭然。
服装も透ける素材のブラウスに柔らかい色のパンツを合わせていて、いつも会社で見かけるシンプルな装いとはまるで違った。
簡単だと言っていた髪型もそうは見えず似合っていて、とにかく彼女の良さを引き立てる。
車からひと目見て固まってしまうほど、強く心を掴まれた。
俺と出掛けるためにこの装いをしてきてくれたのだと思うと、早く捕まえて抱きしめてしまいたい衝動に駆られた。