警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
「……翔さん」
「ん?」
「そんなに、見ないでください」
「悪い、嬉しくて」
指の長い綺麗な手で顔を覆った翔さん。
そのくすぐったい反応に私は更に耐えられなくなり、肩を小さくして俯くしか出来ない。
これを着てきたということは『覚悟』の証。今夜は帰らなくてもいいという意志表示。翔さんのものになるという精一杯の告白。
これ以上耐えられなくてメニューに手を伸ばそうとすると、翔さんに声を掛けられる。
「あすか」
「……はい」
「似合ってる。それにして正解だった」
「ありがとうございます」
その後、自分でリクエストしたはずのスープパスタの味は全くわからなかった。
レストランを出た後も同じ敷地内にあるショッピングモールでいくつかショップを見て回り、先週翔さんの家に私のものを置いていいと言ってくれたので、一緒にコーヒーを飲めるようにお揃いのマグカップを買って貰った。
「少しずつ俺の家にあすかの物が増えてくのいいな。他にも買うか」
「他?」
「お前家でアレ着てないの? もこもこのパジャマみたいなやつ」
「え? まぁ、着てますけど」
「じゃあ俺の家に置いとく用も買おう」
家でくつろぐ時のルームウエアを翔さんの家で着ている自分を想像して真っ赤になる。
だって、それって……。