警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
正直になっていいのなら「そうなんです!でも経験値が違いすぎてもうどうしたらいいのかわからないんです!」と泣きついて相談したいくらいだったけど、初対面の店員さんに何と返していいのかわからずに曖昧に微笑むしか出来なかった。
* * *
「本当に良かったのか?」
翔さんのマンションの寝室。薄暗いベッドの上。確認してくる翔さんに小さく頷いた。
「翔さんの部屋がいい、です」
デートの帰り、買い物をしていたビルの近くのホテルに部屋を取ろうと言ってくれた。
きっと初めての私のことを考えて色々気を使ってくれているのだとわかってるけど、私は初めて泊まる高級ホテルよりも、何度か訪れている翔さんの部屋がいいと伝えた。
「そうか」
肩が触れるほど近くに座る翔さんが、俯く私の顎をそっと上げさせ視線を絡める。
綺麗な瞳の奥が揺れた。経験のない私でも今彼が何を欲しているのかがわかる。
コクンと小さく喉をならすと、ゆっくりと近付いてきた翔さんが音もなく軽いキスを落とした。
そのままぎゅっと抱き締められると、自分でもガチガチに身体に力が入っているのがわかる。
「はは、緊張してんの?」
「……すみませんね、慣れてなくて」
「バカ言うな。慣れててたまるか」
「でも、翔さんは慣れてる」
社内、社外問わずにとんでもなくモテると噂の翔さん。一緒に歩いていると物凄い数の視線を感じる。