警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

下心が透けて見える男の人も、勝手に妬んで冷たく当たる女の人も、全部面倒くさくてシャットアウトしたくなる。

相手にどう思われても構わないから無愛想になるし、言いたいこと言う時には言葉を選ばない。

見た目に反して気が強いだなんて言われるけど、その強さを強いてきたのは周りだと責任転嫁もしたくなる。

「光ちゃん凄くモテるよね。奥さんも大変そう」
「なに急に」
「初恋っていつだったの?」

目の前に出てきたのはロックグラスに作られた白っぽいカクテル。ミルクをたっぷり入れていたのでアルコール度数は高くなさそう。

「ベイリーズミルク。甘くて癒やされるよ」

少しだけ口に含むとバニラやキャラメルの香りが鼻から抜けて程よく甘い。口当たりがよく、二口三口とどんどん進む。

傾けたグラスをテーブルに戻してふぅと息を吐くと、カランと氷が小さな音を立てた。

「おいしい」
「……可愛い子だったよ」
「ん?」
「守ってあげたくなるような、可愛い子」

何の話か首を傾げてしまったけど、自分が何気なく聞いた初恋の質問の答えをくれたのだと一拍遅れて理解した。

守ってあげたくなるような可愛い子。

きっと男の人はそういう内面が可愛い人が好きなんだろうなと、アルコールが回り始めたふわふわした頭で考える。

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