警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

「……イケメンだらけ」

企画部がというよりは、天野さんのまわりが。

松本さんは濃い顔立ちで男前だし、キヨもワンコ系だけど整った顔をしてる。

これが類は友を呼ぶということなのか。

連日遅くまで打ち合わせしながらやっとの思いで新店舗の事業計画書が出来上がった。

週明けには常務会にプレゼンし、ゴーサインを貰えばいよいよオープンに向けて走り出す。

金曜日の今日は珍しく定時で退社しようとしたところを有無を言わさず連行され、会社近くの居酒屋で飲んでいる。

私の隣には天野さん、向かいには松本さんとキヨが座り、早速注文したドリンクがくるとカチンとグラスを合わせる。

カシスオレンジを口にしながら、ビールを煽る三人を見てそっとため息を吐いた。

本来なら絶対お近付きになりたくないメンバーだ。なんなら今も早く帰りたい。

このメンツで飲んだと会社の人に知られたら、一体どんな尾ひれがついて噂が駆け回るのか、考えただけでも頭が痛い。

それでものこのこやってきてしまったのは、この人達と働くのが楽しくなってきたから。

庶務課にいた頃のように、毎日マニュアル通りにルーティーンをこなすだけじゃない。

ひとつの大きなプロジェクトに関わっているという高揚感が、私の警戒心を少しだけ薄れさせた。

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