警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
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常務会へのプレゼンは、天野さんはじめプロジェクトメンバーの選抜五名で行われている。
プレゼン資料作りを手伝いはしたものの、当然ながら私は自分のデスクで仕事をしながら上手くいくよう祈るのみ。
少し休憩しようと自販機で買ってきたカフェラテを飲みながら、朝人数分プリントアウトした資料の予備をパラパラと捲っていると、おかしな違和感に気付く。
「あれ、金曜に修正したとこ……直ってない?!」
サーッと血の気が引く。
金曜日の定時前、天野さんは「飲みに行くぞ」といつも通り強引に言うと、ニヤリと意地悪く笑いながら修正箇所を指摘した。
「行きません」と指摘された箇所を修正しながら断るも、結局押し切られてパソコンをシャットダウンする前に……保存、し忘れた?
慌ててその部分を直して保存したところで、役員フロアにプレゼンに行っていた松本さんとキヨが帰ってきた。
天野さんの姿はそこにはない。
「松本さん、キヨ!」
「ハッチー、終わったよ」
「す、すみませんでした! あのっ資料、修正が……!」
顔面蒼白で頭を下げる私に「大丈夫だよ」と、何が言いたいのか察して肩をぽんぽんと叩いてくれる松本さん。