警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

抜群のルックスを持ち、入社二年は店舗統括部に配属。研修で様々な店舗を回り、商品開発課と共に新メニューを提案しメニュー化した商品も数多い。

さらに企画部に入社三年目で配属になり、ここでも多数の店舗の売上改善などの成果を上げ、若手では珍しく経営企画室にも呼ばれるほどの超エリート。

会社からの期待に大いに応え、三十一歳の若さで次期部長候補にまで上り詰めた。

きっとこの会社で知らない人はいないくらい有名人だ。我が社の最年少部長まであと一歩というのもあり、女性社員から絶大な支持を得ている。

社内、社外問わずとにかくモテる。イケメンで仕事ができる彼の近くで働く女性社員が仕事に集中出来ない程にモテる。

それはそれは女性にモテる男が、どんな女性に言い寄られても靡かない。

それどころか食事に誘ってきた女性社員を断った直後に、目の前で後輩の男性社員を誘って外にランチに出たりするほどだとか。

天野さんに邪険に扱われたのが許せないプライドの高い女性社員が「実はゲイらしい」なんて流した噂を信じている人もいるらしい。実際のところは、どうだかわからないけど。

とはいえ職場でそんなふうに信じられないほどおモテになる上司と、これからしばらく仕事で組むなんて。

私がイケメンとは関わりたくないと普段から豪語しているのを部長は知っていたはずなのに。

八月の終わり。夏の高校野球の決勝戦。球児たちの熱いドラマにひとりこっそり感動の涙を流しリフレッシュしたのは昨日のこと。

とんでもなく憂鬱な週のはじまりになった。


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