警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
「主役が二次会いなくてどうするんですか」
「いい、松本達に任せてきた」
「キヨ、すごい酔ってましたけど」
「あれも誰かがなんとかするだろ」
「美山さんたちも、待ってるんじゃないですか」
「どうかな」
「……お持ち帰り、出来そうでしたよ?」
あー……。なに言ってんだろう、私。最低だ。
「していいのか?」
なんで私に聞くのよ。
眉間に皺を寄せながら真っ直ぐに私を見つめる大きな瞳に心の中まで覗かれそうで、その瞳を正面から見つめ返すことなんか出来ない。
美山さんの勝ち誇った笑顔が頭にちらつく。
「お持ち帰りでも味見でも好きにしたらいいじゃないですか」
「蜂谷」
なだめるような優しげな声で自分の名前を呼ばれて無性にイライラする。
そんな風に呼ばないで欲しい。苛立ちから思いの外冷たい声が自分の喉から発せられる。
「テーブルのはしっこに居心地悪そうに座って仏頂面でカシオレ飲んでた私よりよっぽど可愛い子がたくさんいましたよ」
「っはは。可愛く思えてきた、なんか」
「……はい?」
「顔だけじゃなく、その意地っ張りな態度」
何を言っているのかイマイチ理解できずに顔を顰めていると、クスッと笑う天野さんが私の頬に手を伸ばしてきた。