警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
「企画部の天野です、よろしく」
爽やかに笑顔で挨拶されて手を差し出される。
なるほどイケメンだ。
朝イチなのにむくみとは一切縁のなさそうなくっきりした二重に意志の強そうな眉。目の前に出された手は、驚くほど指が長くて綺麗で思わず凝視してしまう。
女性社員が騒ぎたい気持ちがよくわかる。こういうスキンシップは苦手だけど邪険にするわけにもいかない。
「……総務部庶務課の蜂谷です。お役に立てるかどうか」
申し訳なく思いつつ、ニコリともせずに嫌々差し出した手をぎゅっと握られた。
つい周りを気にして目が泳ぐ。上司に対してあんまりな態度を取っている自覚はある。
それでも周りの視線が気になり、早く手を離してほしくて肩が竦む。
「あのさ。何を警戒してるのか知らないけど」
天野さんは握手した手を離さずにぐっと引き寄せると、私を大きな瞳に映したままニッと笑った。
「そんな警戒しなくても、俺にも好みってもんがあるから」
―――――それって……。
「お前みたいな愛嬌もない女には興味ないってこと。自意識過剰はよくないよ、蜂谷さん?」
か……っ
感じ悪っ!!!!!!