警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました


「まずは新しいラインの店舗のコンセプトから固めていこう」

日当たりの良い第三会議室。

各部署から招集されたプロジェクトメンバーが一同に会し、チームリーダーである天野さんがホワイトボード前に陣取り会議の指揮を取る。

私、蜂谷あすかが働く『カランドコーポレーション』は全国に百二十店舗あるカフェ『calando』の企画・運営・経営を行っている会社。

店舗数は大手ファストフードチェーンに遠く及ばないものの、音楽用語であるcalando《和やかに》の名の通り、楽しく和やかな空間を提供するという経営理念が功を奏し、会社の業績は外食チェーン全体が厳しい中異例の右肩上がり。

そんなカフェ『calando』のメインはコーヒーと軽食であるホットサンドやパスタ。

素材にこだわりを持ちつつ気軽に食べられるよう、値段設定は比較的お財布に優しい。

テイクアウトも出来、イートインスペースには家族連れでも入りやすいよう子供用の椅子やカトラリーも用意されている。

メインユーザーは若い層やファミリーが主体だ。

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