警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
「他部署で男漁る子に不倫女なんて。リーダーの天野さんが本当に可哀想」
私の行動は私が決める。
仲良くしたい人は仲良くするし、ランチだって行きたい人と一緒に行こう。
言いたいこと言う人は言わせておけばいいし、これまで通り腹に据えかねたら返り討ちにしてやればいい。
男漁りでここに来ているわけではない。少なくとも今の私は彼女たちより仕事をしている自負がある。
面倒だからと全ての人をシャットアウトしてきてしまったけど、そんなことをしたって何も解決にはならない。
今一緒に働いているプロジェクトチームの人達だって、同期のキヨだって、幼なじみの光ちゃんだって、きっと天野さんだって。
私自身を見てくれる人は、きっといる。
自信を持って前を向いていなければ、あの天野さんと肩を並べて隣を歩くことなんか出来ない。
関わりたくないと避けてきたけど、紅林さんの存在によって見つめざるを得なかった自分の気持ち。
彼に褒められたい。認められたい。必要とされたい。
もう自覚するしかない。私は……天野さんが好きなんだ。
彼の隣に立ちたいと願うのなら、まずは自分が変わらなくては。
なんだか目が覚めたように吹っ切れて目の前が晴れた気分。
早速返り討ちにしてくれるわと美山さんを睨んで大きく息を吸った瞬間。