警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

え……、え⁉

本当に? 一緒のベッドで隣で寝てたってこと? 一晩中?

どうしよう……。なに平然と隣に寝てるんですかと責めたいところだけど、ここは天野さんの部屋で、運んでもらった私が怒るのは筋違いだ。

だったらソファにでも床にでも転がしておいてくれてもよかったのに。

それすら彼の優しさ故にベッドに寝かせてもらったのだと思うと何も言えない。

結局大声で叫んだきり何も言えなくなってしまった私を見て、天野さんは可笑しそうに笑った。

「冗談だよ。リビングのソファ」
「あっ天野さん!」
「翔だっつってんのに」
「からかうのもいい加減にして下さい」
「それだけ元気なら二日酔いも心配なさそうだな」

先程までの意地悪な笑みは鳴りを潜め、優しげな表情と共にミネラルウォーターのペットボトルを差し出される。

寝起きで力が入らず蓋をなかなか開けられないでいると、無言でペットボトルを取り上げた天野さんが開けてくれた。

何気ない優しさに胸がキュンと音を立てたのが恥ずかしくて、慌てて水に口をつけた。

「これ飲んだらシャワー浴びて出かけるぞ」
「え、いや、そんなご迷惑は」
「そのまんま出られないだろ」

確かに服装は昨日のままでしわくちゃ。

鏡を見ていないけど、メイクも落としていないままの顔は酷いだろうと想像がつく。

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