警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました

そんな顔を天野さんに晒しているのだと思うと、恥ずかしくてカッと顔が赤くなるのがわかった。

だからといって男の人の家のシャワーなんて借りられない。

「あーでも着替えもないか。じゃあ一旦お前の家に寄ろう」

結局そのまま天野さんの車に乗せられて私のマンションまで送ってもらい、一時間後に迎えに来ると言い置いて出ていった。

慌ててシャワーを浴びると、いつもより気合いを入れてメイクする。

アイシャドウはリュミエールから出たばかりの新色。オレンジのラメとゴールドパールが綺麗にグラデーションに見えるように瞼に乗せ、アイラインは少し大人っぽくなるようにハネ気味に描いた。

丁寧にマスカラを付けて、ふんわりとチークを入れ、いつものティントリップを手に取った。

オレンジベージュのカラーは使いやすく、会社に行くにも使用している。

ふと思いついて、バニティポーチの奥から真っ赤な口紅を取り出した。成人式の着物に合わせて母に買ってもらったもので、普段は全く使わない。

紅林さんは素敵な大人の女性で、真っ赤なリップがよく似合う。

キャップを取って唇に色を乗せてみると、そこだけ浮いたように似合わなかった。鏡に映った自分とその行動に苦笑が漏れる。

すぐにメイク落としで拭き取って、アイシャドウと一緒に購入したリュミエールのコーラルピンクのティントリップを塗り直した。

そのままクローゼットに向かい、着る服に悩むこと十分。

< 94 / 161 >

この作品をシェア

pagetop