警戒心MAXだったのに、御曹司の溺甘愛に陥落しました
結局どこに行くのかもわからなかったので、透け感のある白いシフォンブラウスに、淡いグリーンのハイウエストでアンクル丈のワイドパンツ。丈短のノーカラーのジャケットを羽織り、カジュアル過ぎない格好に着替えた。
髪は緩く巻いてハーフアップにし、根本の髪を真ん中で分けてその間に毛束を通す。ゴムの部分には小さなリボンのバレッタを留めた。
何度鏡で確認しても、会社での私とはかなり雰囲気が違う。出かけると言われたものの、デートとは限らない。そもそもなぜ誘われたのかもわからない。
あの二度のキスの意味も、まだ聞けていない。
意味なんてない。褒めてって言われたからしただけ。そんな風に言われるのが怖くて、自分からは何も聞けないでいる。
天野さんはとんでもなくモテる。もしかしたらキスくらい挨拶程度にしか思っていないかもしれない。
それでも天野さんはそんな人じゃないと期待していたい自分もいて、結局気持ちを自覚した所で立ち止まったまま。
昨夜迷惑を掛けたお詫びにお昼ごはんくらいはご馳走しようと思ってはいるものの、もしかしたら浮かれすぎた格好かもしれない。
とことん恋愛偏差値が低い私には、こんなことでさえわからなくて不安になる。
ピッタリ時間通りに着信が鳴り、下に下りるとマンションの前に先程乗せてもらったシルバーの車が停まっていた。
運転席にはスマホをいじっている天野さんが見える。助手席側の窓を小さくノックすると、私に気付いた天野さんが驚いたように目を見開いた後、中から腕を伸ばしてドアを開けてくれた。
「おう」
「おじゃまします」
「……お前って」