海賊たちは歌を愛す
ミラたちは、煌めく宝石などに興味を示すことはない。しかし、音楽に関する宝物には目がないのだ。世界を駆け巡り、様々な音楽に関する宝物を手にしている。この船には、音楽を心から愛する人たちが乗っているのだ。

凪いだ穏やかな日には、ハープで子守唄を奏でてみんなで昼寝をする。嵐が吹き荒れる日は、みんな慌てつつも誰かが荒ぶったギターを奏でている。

そんなミラたちは、ずっと伝説の作曲家と呼ばれた人物の譜面を探していた。どんな譜面なのかは誰も知らない。しかし全ての人の心に響き、全ての人を感動で包み、全ての人の心を救う譜面らしい。その話をミラは誰かから聞いた。

誰に聞いたのかわからないのか、と思う人も多いだろう。ミラには記憶の一部がない。ミラだけでなく、ルカーナやリアとレイ、ジェルメイヌにカイルも記憶の一部がないのだ。そしてみんな、譜面を求めている。

羅針盤が示す方向へと船を進め、虹の橋をくぐり、夜になると星々が輝く中、ミラたちはまた歌い出す。
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