海賊たちは歌を愛す

船から降りた後、ミラたちは早速島の探索を始めることとなった。「夢の島」には珍しい植物がたくさん生えており、「薬草になる！」とジェルメイヌがいくつか取っていた。

「ミラ、あれって……」

ルカーナが指差す先には、一隻の座礁船があった。かなりの年月が経っているようで、朽ち果てている。

何となく、ここに譜面があるとミラたちは確信した。真剣な表情で全員船へと乗り込んでいく。

船長室に入ると、レイとリアが小さく悲鳴を上げた。船長室にはこの船の船長とおぼしき人物が白骨遺体となって眠っていた。その横には壊れたトランペットがあり、机の上にはぐしゃぐしゃになった古い譜面が置かれている。

ミラたちはその譜面を手に取り、眺めた。所々インクが滲んでしまっているところがあるが、その譜面が自分たちの探し求めていたものであるとすぐにわかった。

ミラの失っていた記憶がどんどん蘇っていく。モヤがかかっていた記憶はだんだんと鮮明になり、色付き、ミラの心を抉っていく。