好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
廉って、たまにずるい。
いつもわたしにいじわるばっかり、口うるさくておせっかいなのに。
本当に悩んでくるしいときには、わたしのことを全肯定してくれる。
どんなわたしでも、ありのままを認めてくれる。
「やりたいようにやれよ。負けんな」
漆黒の瞳にとらえられたまま、強いセリフに胸がぎゅっとなる。
なに弱気になってたんだろう。
そうだよね。
廉の言う通りだ。
こんなのわたしらしくない。
わたしが目指したわたしじゃない。
どんな手をつかってでも、実らせたい恋がある。
それなのに、弱気になって負けた気になるなんて、ぜったいにだめだ。
わたしは、まだがんばれる。
もっと、がんばりたい。
「……たまにはいいこと言うじゃん」
「いつもだよ、あほ」
「いいよ、今回はあほだったよ」
「素直に認めるとか怖い」