好きな人には好きになってもらいたいじゃん。



「胡桃」


廉に呼ばれたから振り返る。


目が合ってにこっと微笑み、こっそりピースした。


そんなわたしにめずらしく廉は、曖昧にだけど笑い返してくれた。




「いっくん、今日一緒に帰ろう。わたしも部活あるから待ってる」

「わかった。いいよ」

「やった。帰りにクレープ食べに行きたい」

「うん。くるちゃんは甘いもの好きだね」

「へへっ」



いっくんの腕にひっついたまま歩く。

わたし、がんばるよ。


廉に励まされちゃったし、がんばるしかない。



廉、ありがとね。


心の中で再びお礼を言って、いっくんと廊下を歩いた。





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