好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
わたしも行こう。
今日は週に2回ある家庭科部の活動日。
しかも調理の日なんだ。
カップケーキを作るって言っていた。
早く行かないと。
リュックを背負って、家庭科室へ向かう。
エプロンと三角巾をして準備万端。
「今日はカップケーキを作ります。事前に渡したプリントを見て、作ってください」
「はい」
「では、作業開始」
ピンクのチェックのエプロンをつけた部長の声で各自はじめる。
うちの家庭科部は部員が3年3人、2年2人、1年2人の合計7人。
少ない部員数でゆるくやっているから、この人数でも全員そろう日はわたしが入部してからはない。
わたしは料理ができるようになりたくて入部した。
もちろんこれも、いっくんへのアピールする手段のひとつにしたいのが入部の理由の元になっている。
がんばるぞ……!
と、心の中で意気込んでいたのに。
―――ボンっ!!
「きゃあ!」
「どうした!?」
いやな音と周りの悲鳴。
ちなみにいやな音はわたしのテーブルに置いてある電子レンジから聞こえた。
いやな予感……。