好きな人には好きになってもらいたいじゃん。




「月島、浴衣いいね」

「ほんとに?」

「ほんとほんと!すげぇかわいいよ……!」



町田くんの視線がわたしの頭からつま先まで何度も往復する。



「ありがとう。町田くんも甚平すてきだよ!」

「さんきゅ。でも、まじで月島かわいいよ」



じっくり見られるのが恥ずかしくて、思わず照れてしまう。

けど、がんばったから、こうして褒めてもらえるのは素直にうれしい。




「岸本も最高にかわいいしさ、俺まじで幸せ……!」

「ははっ、なに言ってんの」

「町田くんおもしろいね」



大袈裟な町田くんに笑っていると、肩に手が回ってきて引き寄せられた。

それは、黙っていた廉で……。



「……凛太郎」

「ちょっと、廉。暑いよ」

「あいつが悪い」

「かわいいって言っただけだろ」



廉の言葉に町田くんが口を尖らせる。

たしかに町田くんは廉が不機嫌になるようなことは言っていない。




< 116 / 347 >

この作品をシェア

pagetop