好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「月島、浴衣いいね」
「ほんとに?」
「ほんとほんと!すげぇかわいいよ……!」
町田くんの視線がわたしの頭からつま先まで何度も往復する。
「ありがとう。町田くんも甚平すてきだよ!」
「さんきゅ。でも、まじで月島かわいいよ」
じっくり見られるのが恥ずかしくて、思わず照れてしまう。
けど、がんばったから、こうして褒めてもらえるのは素直にうれしい。
「岸本も最高にかわいいしさ、俺まじで幸せ……!」
「ははっ、なに言ってんの」
「町田くんおもしろいね」
大袈裟な町田くんに笑っていると、肩に手が回ってきて引き寄せられた。
それは、黙っていた廉で……。
「……凛太郎」
「ちょっと、廉。暑いよ」
「あいつが悪い」
「かわいいって言っただけだろ」
廉の言葉に町田くんが口を尖らせる。
たしかに町田くんは廉が不機嫌になるようなことは言っていない。