好きな人には好きになってもらいたいじゃん。




「廉はなにも言ってくれなかったもんね?」

「えー!?廉きゅんひどぉい。女の子がかわいくしてくれてるのに」

「変わんねぇよ」

「廉きゅんサイテー」

「その呼び方やめろ」



町田くんを睨む廉。

けどさ、町田くんの言う通りだよ。


かわいくしたのに『変わんねぇよ』はないでしょ。

廉はいつもそう言うよ。

褒めてくれたことがない。


そんなところも、いやなんだ。



「折原きゅんは私服かっこいいね。でも、祭りなんだから浴衣か甚平見たかったなぁ?」

「あんたものんな。俺はこれでいいんだよ」

「まぁ、廉いじりはここまでにして、とりあえずなんか食おうぜ」

「そうだね。なに食べたい?」



かほちんの言葉にすぐに手を上げる。



「たこ焼き!焼きそば!からあげ!」

「茶色!!」


笑いながらかほちんにツッコまれた。

たしかに茶色だ……。


でも、茶色のものほどおいしいよね。




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