好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「なぁ、月島、まったく同じなんだけど!」
「え、すごいね!おいしいもんね」
「うんうん。じゃあ、一緒に買いに行こうぜ」
「行く行く~!」
お腹空いたし、出店で買う食べ物って雰囲気もあいまっていつも以上においしく感じるんだよね。
元気に返事をすると、町田くんがわたしに手を伸ばす。
その手がわたしに触れたか触れていないか、というところでその手は振り払われた。
振り払ったのはもちろんわたしではない。
町田くんの驚いたような表情が視界に映り、そのあとすぐににやっと笑みを浮かべた。
「廉きゅ~ん?」
「…………」
「妬きすぎじゃないっすかぁ?」
「……うっせぇ」
舌打ちをして顔を逸らす廉。
ほんと短気だよね。
怒るタイミングがよくわからない。
「町田、そこらへんにしてあげてさ」
「そうだな。じゃあ、改めて、行きますか」