好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「胡桃ちゃん!」
先輩が電子レンジを見てからわたしに声をかける。
その表情がなんともひきつっていたから、見るのが怖くなりながらも覗き込んだ。
電子レンジの中に飛び散っているカップケーキになるはずだったものたち。
泣きそうになりながら先輩を見ると、苦笑しながら頭を撫でられた。
「胡桃ちゃん、これあげる」
「私のもあげるよ」
「うちのもどうぞ」
「………ありがとうございます」
わたしの手の中につぎつぎと乗せられた綺麗でおいしそうなカップケーキ。
ラッピングまでされてかわいい。
こうゆうの!
こうゆうのを作りたかったのに……!
料理は苦手なんだよね。
でも、だからこそ入部したんだからこれから上手くなれたら……!
片付けと活動日誌を書いてから今日は解散になった。
先輩たちからもらったおいしそうなカップケーキとわたしのカップケーキになれなかった欠片を見比べる。
「はぁ……」
「胡桃ちゃん、これもどうぞ」
「え……?」