好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
わたしの好きなキャラクターで、小物とかは全てこのキャラクターでそろえている。
すごくかわいくてうれしくて、ぬいぐるみをぎゅっと抱き締めた。
そのとき、スマホが鳴りメッセージを知らせる。
【ごめん!テニス部の先輩につかまっちゃって、戻れそうにない。折原とふたり仲良くね!】
メッセージアプリを開くとそんな文章。
ふたりで?
疑問に思いながら、廉に視線をやる。
廉もスマホを見ていて、横顔が映る。
「かほちん、先輩につかまって戻れないって」
「……凛太郎も」
「え?町田くんも?」
「チッ……いちいちむかつく」
じゃあ、本当にふたりなんだ。
ふたりそろって同じタイミングで先輩につかまるなんて。
……ん?
町田くんの先輩ってことはサッカー部。
いっくんもいるかもしれない。
「廉、そろそろ行こう。花火見えるとこ探すよ!」
立ち上がったわたしに、だるそうにする廉。