好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「ほら、廉。立って立って」
「疲れた。休憩」
「休憩なんてもったいないよ」
「足痛いだろ」
「わかった。わたしひとりで行く」
「それはだめ」
「じゃあ行くよ」
「はぁ……」
ため息をついた廉はしぶしぶと言った様子で立ち上がる。
なんのために花火大会に来たの?
花火を見るためでしょ。
わたしはそれ以上に、大切なミッションがあるけど。
花火の時間が近づいてきて、出店の前は人が減っている。
いっくんも花火を見に行ったかな?
でも、そっちを探すよりも人の少なくなってきた出店を先に見たほうが効率いいかも。
「どこ行くんだよ」
「あ、えっと……かき氷食べたい」
「まだ食うのか。太るぞ」
「今日はいいの」