好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
口うるさい廉にむっとしながらも、かき氷の出店に向かいながらいっくんを探す。
けど、そんなすぐに見つかるわけもない。
同じクラスメイトに何回も会うことはあるのに、どうして会いたい人にはなかなか会えないんだろう。
「かき氷あるぞ」
「ここじゃない。ふわふわのやつ」
「変わんねぇだろ」
「違いがわからない男だね」
「なんだよそれ」
ツッコまれるけど気にしない。
そのままいっくんを探し歩くけど、見つからなかった。
「あ、花火」
試し打ちの花火が上がり、一瞬だけ夜空が華やかになる。
もう、花火を見に行ってるのかもしれない。
浴衣姿、見てほしかったのにな……。
半分諦めモードで、目当てのふわふわかき氷の出店で、練乳いちごのかき氷を買った。
「ん~、冷たくてふわふわ!おいしい!」
いっくんに会えなくて気分が下がっていたけど、かき氷のおかげでテンションは戻る。