好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「赤い」
「でも、いちごがいちばんマシだよね。メロンとかブルーハワイはもっとすごい」
まぁ、いちごでも赤すぎるけど。
でもこれも、かき氷を食べる上での楽しみだよね。
「花火始まる時間だね。堤防のほうに……」
「廉とくるちゃん?」
花火を見に行こうとすると、後ろから名前を呼ばれ言葉を止めた。
だって、この声にこの呼び方をするのはひとりしかいない。
わたしが会いたくて仕方なかった。
ずっと探していた。
今日、花火大会に来るいちばんの目的である人物。
ドキドキする心臓を抑えながら、勢いよく振り返る。
「……っ、」
けど、見た瞬間に固まった。
声も出ない。
さっきの胸の高鳴りとは違う、ドクドクと心臓が嫌な音を立てながら暴れだす。
「いっく、ん……?」
「くるちゃん浴衣かわいいね。いつもと雰囲気違う」
気づいてくれてうれしい。