好きな人には好きになってもらいたいじゃん。
「浴衣もほんとかわいい。見れてよかった」
「姫野さんは本当にくるちゃんがすきだね」
どうして……、いっくんは姫野先輩とふたりでいるの……?
全身が心臓になったみたいにドクドクと脈打っている。
鼓動しか聞こえない。
目の前が真っ暗になっていく。
サッカー部の人といるんじゃなかったの?
ねぇ、なんで……。
「あ、そうだ。ふたりに聞いてほしいことがあるんだ」
……聞きたくない。
ぜったい、聞きたくないよ。
なんとなく、予想はついているから。
悪い予感がしているから。
いっくんの言葉に頬を赤らめる姫野先輩と、うれしそうに微笑んでいるいっくん。
気づかないわけないじゃん……。
「僕たち、付き合うことになったんだ」